京都・壬生(みぶ)にあるドッグホテル「京都わんこのお宿」が、2018年2月リニューアルオープンしました。
この宿が、従来のペットホテルと大きく違う点は、夜も人が建物に滞在し、
まるで友人宅に預けるような感覚で、犬を預けられるということ。
オーナーの齋藤裕子さんは、2年ほど前に移動式ドッグサロンをスタートして、今回はまた新しい事業として「犬の宿」を始めました。動物を扱う事業は不可という物件が多い中での店舗探し、そして資金調達。「厳しい条件の中で新たな事業を立ち上げた」という齋藤さんに、どんな風に開店まで至ったのか、お話を伺いました。
今回は、2回に分けてご紹介します!
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「ドア一枚からのリフォームもOK」
最初の相談から実際の依頼まで14ヶ月間
辛抱強くそのときを待ってもらいました。
——齋藤さんは2年前に、移動式ドッグサロンを始められてるんですよね。
齋藤さん:
はい。車の中に給湯や犬用のお風呂、エアコンなどの設備を備えた専用車両を用意。
自宅などに伺い、わんちゃんたちのお手入れをするというサービスです。
京都市初の登録ということで、当時からいろいろなメディアで取り上げていただきました。
今回、わんちゃんが泊まれる宿を始めるに当たり、物件探しを始めたのが2017年10月です。
コトスタイルさんにはそのときからお世話になっています。
最初はとにかく予算がなくて(笑) こちらの条件としては家賃は5〜6万円くらいで、専用サロンカーも置ける駐車場があって、かつ、自宅としても住めるSOHOとなるような場所ということでお願いしました。
——なかなか厳しい条件のように思えますが…?(笑)
齋藤さん:
そうですよね(笑) そんな中やっと出てきたこの物件は、見た瞬間に気に入りました。
すぐ目の前が御前通で歩道があるから、わんちゃんの散歩もしやすい。
さらに、元々オーナーさんが倉庫として使っていた建物なので、天井が高く、
専用サロンカーも中に置けるという利点がありました。
ここに決めたい!という思いはあったんですが、ただ、家賃が予算の倍以上だったので、初期費用で必要な家賃数ヶ月分など考えると、契約時に100万円以上は必要という計算になってしまいました。
当然ながら、いったんは予算が足りないので諦めるしかないと思っていたんです。そこへ、事情を知らない両親からたまたま生前贈与の話があって、ちょうど初期費用を払えるほどの額を手にする機会に恵まれたんです。
——それはすごいタイミングでしたね。
齋藤さん:
はい(笑) これはもう神様が「ここに入れ」と言ってくれているんだと思って、この物件に決めました。
コトスタイルさんに、建物内をサロンとして使えるようにリフォームした場合のお見積もりを依頼したら、300万円を超えていました。これももう全然予算がないのでお願いするのは難しいなぁと思ったんですが、最低限のことでいいので、リフォームした場合はどうなるのか再度相談したところ、見積もりが150万円まで下がったんですよ。
——ほぼ、半額ですね!
齋藤さん:
ええ。壁はそのままで触らないでおくなど、とにかく削れる部分は全部省いて、
最低限のリフォームで試算をお願いしたんです。
あまりに削って、なんだかお願いするのも申し訳ない気持ちになったのですが、担当の池田さんに「ドア一枚のリフォームでも大丈夫ですよ」と言っていただいて、すごく心強かったです。
最初の見積もりは2017年春に出してもらっていたんですが、運転資金とのバランスで工事費用のやりくりできず、結局、ずっと待ってもらっていました。なんとか融資がおりることが決まり、ようやく2017年12月に着工してもらえる状態になったというわけです。
——引越しもリフォームも、多額な予算を用意するというのが大変そうです。
齋藤さん:
そうですね。予算ギリギリの超貧乏な引越しだったので(笑)。だから専門家に任せる工事は諦めしかなく、自分で買ってきた壁紙を貼ったり、床にパネルを敷き詰めたり、手書きの看板を掲げたり、が精一杯でした。そして、最低限の機能と体裁を整え、引っ越しから2ヶ月後の2017年4月に「京都わんこのお宿」をオープンしたというわけです。
もちろん、すぐに売上が作れるはずもなく。工事費を稼ぎ出すには相当な時間がかかることが想像されました。
実は、私は起業当初から、いろいろな補助金や助成金に申請していたのですが、京都産業21が窓口となる最大300万円の助成金の存在を知り、5月に応募書類を送付したところ、7月に採択が決まりました。一方、引っ越しと前後する時期に、第5回京都女性起業家賞で「日本政策金融公庫グッドプラン賞」もいただくことができました。こうした一連のご縁をいただいた結果、最終的に、金融機関からの融資を受けられることが決まったのです。
私の場合、結局、たくさんのまわりの方のご支援やサポートがあって、やりたいことをやらせていただけている。
心からそう思っています。
——そうだったんですね。人との繋がりは、大切ですね〜。
さて次回は、リフォームをどのように進めていったのか、
リニューアル後のお客様の評判についても、お話を聞かせてもらいます!
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