五条大宮から南西にある島原という街にオープンした「ネクタイコーヒー」。
店主の中川優さんは、さまざまなコーヒーショップで働き、その後開業を見据え間借り営業をはじめ、2024年1月末にお店をオープンしました。
築100年の古民家をリノベーションするにあたり、作り込み過ぎず、今ある建物の良さや雰囲気を残しながら、懐かしく居心地の良い空間を作り上げ、常連さんや街の人々を惹きつけます。
リノベーションにあたって挑戦したクラウドファンディングやDIY、お店作りへの想いなど、前編・後編の2回に分けてお届けします。
築100年の古民家リノベーション
クラウドファンディングはお金以上の安心をくれた
——築100年の物件とのことですが、もともと古い物件を探されていたのですか?
中川さん:
いえ、全くでした。むしろ古民家はお金も手間もかかりそうなイメージで、正直あまり見ていなかったです。物件の条件に、外からお店の中が見やすいということを挙げていました。ここはガラス張りになっていて、外から店内の様子がよく見えるんです。そうするとお客様も入りやすいと思っていて。古民家ということで不安もあったのですが、この物件がとても魅力的で雰囲気がよくて、どうしても惹かれるものがありました。
——素敵な物件に出会ってしまった!という感じですね。
開業されたきっかけについて教えてください。
中川さん:
高校生の時から自分のお店を持ちたいなと思っていました。当時はサラリーマンになる自分が想像できなくて、学生時代によく行っていたご夫婦でされている古着屋さんがあって、すごく自由で楽しそうで、そんな風に働けたらいいなと思っていたんです。もし自分でお店をするとしたらカフェかなと思って、たまたま本屋さんで立ち読みした雑誌に、バリスタの特集が組まれていて、それでバリスタに興味が出て、大学に入ってからはカフェで働き、卒業してからもいろいろなコーヒー屋で働いて今に至ります。
——コトスタイルにお願いしたきっかけはありますか?
中川さん:
不動産屋さんに紹介されたのがきっかけでした。もともとコトスタイルさんの名前は知っていたんですけど、 何社か紹介してもらった中で担当者の方がめちゃくちゃいい方で、それが決め手でした。本人の目の前でいうのは恥ずかしいですが(笑)。それに職人さんみたいで、プロ意識が高い方だと感じました。
——開業前に間借り営業をされていたようですね。
ご自身のお店づくりにおいて何かいい影響はありましたか?
中川さん:
壬生モクレンさんというお店で間借り営業をしていました。そこはバーでありながら定食を出したりするお店だったのですが、間借り営業をする中で、接客スタイルや内装について学ぶことが多くありました。ありがたいことに常連さんも増えてきたんです。常連さんがいてくれる状態でお店をはじめられたことは、とてもよかったです。
——すでにファンがいてくれるというのは、とても心強いですよね。
開業にあたりクラウドファンディングをされていたとのことですが、きっかけは何でしょうか?
中川さん:
資金集めも理由の1つなんですけど、それだけではなくて、クラウドファンディングに挑戦してみたかったんです。クラウドファンディングのページには、僕たちの想いやお店のコンセプトなど、そういった少し見えにくい部分を文章にして効果的に伝えることができます。クラウドファンディングの期間は1ヶ月ほどでしたが、それが終わってもページは残るので、僕たちのことを知ってもらえるツールになると思ったんです。
——中川さんご夫婦のお人柄を感じることができて、とても素敵なページでした。資金は順調に集められたのでしょうか?
中川さん:
支援してくださった方は新規の方もいましたが、常連さんが多くて本当に助けられました。目標金額に到達できたわけではなかったですが、それ以上にこれだけ応援してくれている人がいるんだ、ということを感じることができて、すごく嬉しかったです。精神面での安心というのか、絶対成し遂げるぞ!と改めて決意を固めた瞬間でもありました。
——それはすごいパワーになりますね!
こんなお店にしたいといったイメージはありましたか?
中川さん:
お客さんとのいい距離感を大事にできるような空間にしたいと思っていました。間借り営業をしていた壬生モクレンさんのオーナーさんが、お客さんとの会話をすごく大事にされていて。今まで働いたお店では、カウンター席のお客さんと喋ることはあまりなかったんですけど、間借りしていたお店ではカウンター席でお客さんと会話するようになって、カウンター席っていいなって。かしこまりすぎずに、ちょっとラフな感じで会話が生まれる場所になったらと思い、カウンター席を作りました。
——間借り営業がお店づくりのヒントやいい影響を与えてくれているのですね!後編では、具体的に店内のこだわりについてお話を伺います!