店主である淡路ご夫婦が、20年越しの夢を叶えて2022 年7月4日にオープンした「イタリアカフェ ヤンム」。京都出身ではないというお2人が京都・西陣にお店をオープンした理由、お店に込められた思いとは?コロナ禍でいったんお店作りが白紙になった経緯から、オープンして1ヶ月後の今までについて。
前編・後編の2回に分けてインタビューをお届けします!
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理想の物件と出合えたおかげで
必要最低限のリノベーションで済みました!
——お2人がお店を始めようと思ったきっかけは何だったのですか?
淡路三郎さん:
私たちが出会ったのが、元々イタリアン・レストランだったんです。そこのシェフが作るイタリアンが本当においしくて。出会った当時…もう20年以上も前ですが、その頃から「いつか2人でお店を開きたいね」とは話していました。
淡路貞子さん:
私たちは京都出身ではなくて、私は富山、夫は長崎なのですが、東京で働いていた時期もありましたし、お店を開く前までは大阪で働いていました。その頃から京都にはよく遊びに来ていたので、京都にはなじみがあったんです。夫の職場が大阪から京都へ移動するタイミングもあり、そろそろお店を始めたいね、それなら京都がいいねと動き出したのが、ちょうどコロナが流行り出す3年ほど前のことです。
本格的にお店を出す準備をしようと、まずは「いい物件があれば」と不動産屋さんをまわるようになり、お店作りのための貯金も本腰を入れて始めようと思った矢先に、コロナ禍となってしまいました。
——そうだったんですね。それで、物件探しはいったんストップしたのでしょうか。
淡路貞子さん:
そうなんです。私はホテルのレストランに勤めていたのですが、物件探しと並行して貯金も始めようと思ったら、コロナ禍の大打撃を受けまして。レストランの営業は時間短縮となり、仕事が減り貯金も難しい状態となってしまいました。それでお店作りはいったん白紙に。
それでも物件探しは続けていたところ、今年の3月に不動産屋さんから「西陣にいい物件が出たので、内覧してみませんか」と連絡がありました。
淡路三郎さん:
大阪から京都に遊びに来ていたとき、バスに乗るとよく今出川通を通っていて、西陣には親しみがありました。西陣は昔から呉服関係の職人さんが大勢働いていたところです。地に足がついた生活感のある土地ですし、西陣からは立命館大学や同志社大学も近い。私たちは、イタリアのバールのような気軽に立ち寄れるお店をしたいと思っていたので、メインターゲットが観光の方ではなく地元の方でした。今出川通は観光客向けというより生活道路という印象がありましたし、ここなら私たちが来てほしいと思っているお客様に来ていただけるのではと思い、ずっと西陣で物件探しをしていたんです。
——この物件が決め手となったのはどんなところでしょうか?
淡路三郎さん:
お店は私たちが2人ですると決めていたので、あまり広すぎると手が回りません。この物件は2人でするにもほどよい広さでしたし、前はカフェだった居抜き物件で、店内はそのまま活用できるというのも良かったですね。お客様が過ごされるホールの内装は、ほとんど手を加えていないんです。
淡路貞子さん:
店内の工事でコトスタイルさんにお世話になったのは、テーブルを作ってもらったのみ。ちょうどいいサイズのテーブルを作ってもらった以外は、壁も床もそのまま活用することができました。
淡路三郎さん:
スツールも自分たちでメーカーを探してきてオーダーメイドで作ってもらったのですが、一脚4000円というお手ごろ価格で、高さも色も細かく選べて、とても気に入っているんです。
——壁の水色の腰板もオシャレですが、これもそのままなのでしょうか。
淡路三郎さん:
ええ、そうなんです。厨房は動きやすいようにいろいろ設備も整えてもらったのですが、ホールに関しては本当にそのまま活用できたので、かなり初期費用は抑えられたのではないかと思います。
——3年前に物件探しを始められて、コロナ禍でいったん白紙になって…それでも地道に物件探しをされていたところ、理想的な物件と巡り合え、この度無事にお店をオープンされたのですね。何が好機となるかは分からないですね。
次回は、厨房のこだわりについてお話を伺います!