2022 年3月25日にオープンしたデリバリー専門店「糀とお野菜処 シャーリーズキッチン」。前回は、予算のほとんどを厨房に費やしたというこだわりの空間についてお話を伺いましたが、こだわった点はまだまだあります。引き続き、お話を聞いていきます。
——テイクアウト専門店ということで、リノベーションも普通の店舗とは少し違いますよね。
前川さん：
そうですね。基本的にお客様が中に入られることはないので、店内はとにかく厨房の使い勝手の良さを一番に考えました。シェアキッチンでの使い勝手をよく知っていたので、そこでのサイズを測って参考にしました。はじめからいきなりお店を始めるのではなく、シェアキッチンでしばらく営業させてもらったことはすごくいい経験になりました。
厨房の床はコトスタイルのスタッフの方に提案してもらって、すり鉢状になっています。というのも、私は厨房を掃除する際、水をジャバーッとかけて一気に床の掃除をするのですが、それならすり鉢状の床にしておくと、掃除のあとが楽ですよと教えてもらったんです。スタッフの方から、そうした提案をいろいろしてもらえたのがよかったですね。
コンセントの数も、実際に作業をするときのことを考えて多めに設置しておきましょうかと提案してもらいました。お店をオープンして作業をしていくうちにどんどん道具も増えていって、ホント多めに作っておいてくれて助かっています。
——なるほど。あと、道路に面した大きな窓も注文を受けるときにちょうどいいですね。
前川さん：
そうなんです。和風のイメージにしてもらいたかったので、この炭っぽく見える左官壁仕上げはとても気に入っています。注文窓口は、夏はクーラーをしているので閉めていますが、フルオープンにすることもできます。窓の両サイドにはメニュー表を掲示できるように額もつけてもらいました。
——扉と窓枠の雰囲気も、木の温もりが感じられていいですね。
前川さん：
ありがとうございます。当初、窓は木目調のアルミ素材のものも候補だったのですが、コトスタイルのスタッフの方に木材を薦められて決定したんです。今となっては、木材にして本当に良かったなぁと思っています。窓枠も木製なので素材感も合わせられましたし、やはり木の質感がある方が、より愛着が持てる気がします。
——オープンして4ヶ月ほど経ちますが、実店舗を持たれていかがですか？
前川さん：
以前は、シェアキッチンでひたすら料理を作る作業に専念していて、あとは配達の方に商品を託すというやり方だったので、実際にお客様に接する機会がありませんでした。
それが実店舗となると、注文窓口で実際にお客様と対面しておしゃべりすることもあって、それが楽しいですね。でも最初の2ヶ月は、作ることだけをしていたシェアキッチンの時とは違い、レジも自分でやらないといけないし、レジでミスしてお客様を待たせてしまったり……本当に大変で、始めた頃はお店に立つのが苦痛だったんです（笑）
でもしばらくすると慣れてきて、そのうち電話予約もスムーズに受けられるようになり、リピーターさんが来てくれるようになると、だんだん楽しくなってきました。日々勉強です。
——やることが増えると大変ですよね。特にこの立地は、岡崎通りに面していて人通りもけっこうありますし。
前川さん：
そうなんです。銀閣寺を観光して哲学の道をずーっと歩いてきてくださった方が店の前を通られることも多く、お店を始めた当初は「イートインできないんですか？」とよく聞かれました。観光などで歩き疲れた方が、飲んだり食べたりするのに、ちょっとしたスペースがほしいと思われるみたいです。岡崎公園で手作り市といった催しなどがあるときも、すぐそこに駐車場があるので、そこから歩いていかれる方もよく通られます。
当初は、何とかしてイートインもできないかと工夫してみたのですが、やはり厨房第一で工事した店内はイートインするには狭くて、最初の予定通りテイクアウト専門でやっています。
今回は主に1階だけのリノベーションでしたが、いつか2階もキレイにして、活用できるようにしたいなと思っています。
——2階も使えるようになったら、以前されていたという料理教室もできそうですね！
前川さん：
そうですね。2階は床を張り替えてもらって、シンクだけ入れてもらった状態で、まだお客さまに入ってもらえる状態ではないのですが。1階のお店の営業を頑張って稼いで、また融資をしてもらえたら、2階のリノベーションもまたコトスタイルさんにお願いしたいですね！
——「Uber Eats」もすっかり定着した今、テイクアウト専門店はこれからドンドン増えていきそうな気がします。前川さんのお話は、これからそうしたスタイルのお店を始めたいという方の参考になりそうですね。前川さん、貴重なお話をありがとうございました！
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