2018年9月にオープンした「東山 吉寿」。前回は、お店でお客様にどんな風に過ごしてもらいたいか、空間への徹底した思いについてお話を伺いました。今回はカウンターや個室のリフォームについて伺います。
完成後も何度かやり直してもらって
徐々に納得のいく形になってきました。
——店内に入ってまず目に入るのが、この一枚板のカウンターです。厚みがあり、どっしりとした重厚感がありますね。
鈴木さん:
カウンターは、マホガニーの一枚板の天板で、実際に木材屋に足を運んで選びました。料理を作る工程から、完成させる最後の仕上げまでお客様に見ていただけるよう、劇場型にしてあります。私が常に食材や料理の説明をしながら提供しているので、最初から最後まで8割がた私がおしゃべりしているんじゃないでしょうか(笑)
——ショーというか、エンターテインメントとして食事が楽しめそうですね!カウンター奥の壁も変わったデザインです。
実はこれは他社さんがあげてくれたデザインだったのですが、私が気に入って。今回コトスタイルさんに施工してもらいました(笑)「イチマツタイル」というそうです。
またこのカウンターの上には、空調が設置してあるのですが、これもお客様に直接風が当たることがないようにしてもらいました。クーラーの風が直接当たると体が冷えてしまいますし、そうなると料理に集中できなくなってしまいます。
あとはカウンターにお出しした料理がおいしそうに見えるように、ピンスポットの数も当初より増やしてもらいました。ピンスボットの数が少ないと、照明と照明の間に座ったお客様の料理が影になってしまうんです。
——この空間には、とにかく徹底して料理を楽しんでもらうための配慮がなされているんですね。
そうですね。このカウンター横には壁があったのですが、お客様に圧迫感を与えてしまわないように、そこも取ってもらいました。リフォームが完成してお店がオープンしてからも、「もっとこうした方が良いのでは」という箇所が出てきたら、常にコトスタイルさんに相談して、微調整してもらっています。その分、追加料金はかかってしまうのですが、スタッフさんは根気よく私の理想の空間になるまで付き合ってくれています(笑)
——個室のリフォームについてはいかがですか?
鈴木さん:
小さなお子さまも連れて来られるように個室を用意しました。和食店には子どもは連れて行きにくいというお客様もいると思うのですが、うちには気にせず来ていただけたらいいですね。ここは畳ではなく厚みのある絨毯を敷いています。私自身、靴を脱いで料理を食べる方が寛げるということもあって、個室では、靴を脱いでで料理を楽しんでもらえたらと思っています。
実はこの和室もやり直してもらった箇所があるんです(笑)最初の照明が暗くて、別の照明をつけてもらいました。
玄関から続く廊下も、当初は砂利道の部分がもっと多かったのですが、個室に上がる際、ピンヒールを履いているお客様が砂利に引っかかってしまって上がりにくいということがあり、ここも変更してもらいました。
——そうだったんですね。実際にお店をオープンされてから、調整した部分も多かったんですね。最後に、このお店は住宅街の中にある一軒家の建物ですが、この立地を選んだのには、どんな理由があったのでしょうか。
鈴木さん:お客様が当店でお食事をされた後、 「ハイアットリージェンシー京都」や「フォーシーズンズホテル京都」といったハイクラスなホテルに歩いて帰ることができるからです。またVIPなお客様はBMWやフェラーリといった車で来店されることも多いのですが、そんなときに駐車場も完備しておきたかったということ。店のすぐ横には4台分の駐車場を確保しています。あとは店の前の道路も広いのでタクシーが止まりやすいという利点もありました。そうした配慮がある方が、お客様も安心してお店に来られるのではないでしょうか。
——なるほど。そんな風に物件を探していたのですね。そこまで考えて物件探しをされて、空間には隅々までこだわる。このお店に鈴木さんの人生の哲学が詰まっているようです。
今回、お料理はいただいていませんが、ここまで隅々までこだわる鈴木さんの料理は、いったいどんな味なのだろうと興味が湧いてきました…!いつか客として来てみたいと思いました。
鈴木さん: お待ちしています(笑)
——鈴木さん、貴重なお話をきかせていただき、ありがとうございました!
——店舗情報——
東山 吉寿
京都府京都市東山区妙法院前側町422番地
ヒトサラ:https://hitosara.com/0006114122/
一休:https://restaurant.ikyu.com/111628/