大徳寺の東側、京都市内で一番長い商店街・新大宮商店街の中に
新しくオープンしたのが「お茶にまつわるたまり場 暗香庵」です。
ここは日本の方向けに中国茶のワークショップを開催したり、
海外からの旅行者には日本の伝統文化である、
茶道や華道を知ってもらうためのワークショップを開いたりするお店。
オーナーの1人は、昨年まで中国で大学の先生をしていた佐藤由佳さんです。
お店を開店するにあたって、コトスタイルを選んでいただいた理由、
リフォームを終えての感想などを伺ってきました。
(2017年2月8日取材)
====================
中国茶が味わえるカフェではなく
学んで知ってもらうための場
インタビュアー:
このお店のコンセプトは、カフェではないのですね。
佐藤さん:
ええ、そうなんです。
中国茶について知っていただき体験してもらうための場所で、
その中で中国茶を飲むということはありますが、
基本はカフェではなく、ワークショップの場としてオープンしました。
日本の方には中国茶のワークショップを、外国の人には日本の茶道、華道について
紹介していきたいと思っています。
インタビュアー:
なるほど。そういったお店を開きたいと思ったきっかけは何ですか?
佐藤さん:
私は昨年まで15年ほど中国に住んでいて、
大学で書道や日本語、日本文化などを教えていました。
子どもが成長して中学生になるタイミングで日本に帰国してきたのですが、
もともとお茶が好きで、日本で改めて仕事をする際に
「お茶を飲むことを続けられる仕事って何かなぁ」と考えたら、
ここに行きついたんです(笑)
お茶って人と人の間にある壁がなくなるアイテムだと思うんです。
間にお茶が入ることでコミュニケーションがよりスムーズになるというか、
壁が越えられるというような。
中国茶というと小難しそうという印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、
全然そうではなく、ここでもっと気軽に中国茶の楽しみ方を知ってもらえたらいいなと思いますね。
自分の専門外のことは、
その道の専門家にお任せするのが一番
インタビュアー:
コトスタイルのことはどこで知ったのでしょうか。
佐藤さん:
物件を探してもらっていた不動産屋さんに、リフォームの工事だけではなく
店舗の設計デザインもできるところとして紹介してもらったのがきっかけです。
スタッフの池田さんが私と同じ大阪出身ということが決め手となりました(笑)
インタビュアー:
そうだったんですね(笑)
内装をお願いするときは、どんな風にイメージを伝えられたのですか?
佐藤さん:
そうですね。私は建物に関する知識がないので、
それならもう専門家に任せてしまおうと(笑)
ある程度ベースとなるものを作ってもらい、図面を見せてもらいながら
進めていく中で「それならば、こうしたい」という希望が出てきたので、
そこで自分の思いを伝えたりしました。
この店のオーナーは私一人ではなく、中国にも仲間が何人かいて、
内装は中国の人の感覚も取り入れながら進めていきました。
やはり日本の感覚と違う部分もいろいろあって、特に外の壁の色には苦労しましたね。
希望の色を聞くと赤や黄色など、ちょっとこの場所では似つかわしくないような
派手な色を希望してきたり(笑)
あと壁に文字を直接書きたい、電光の看板をつけたいなど、いろいろな提案をもらって
それを私が調整しながら、コトスタイルさんに伝えて作業してもらったという感じです。
インタビュアー:
日本と中国と感覚が違うと、調整するのが大変そうですね(笑)
佐藤さん:
そうですね(笑)仲間の思いも尊重しつつ、この場所やお店に合うものをと考えて
調整していきました。
坪庭にお地蔵さんの石像があるんですが、これも中国の仲間が置きたいといって、
私がネットオークションで探してきて手に入れました(笑)
庭はほとんど手を入れていなくて、コトスタイルさんにどうしたらよくなるのか
相談させてもらって、白い石を敷いてみたらとアドバイスをいただいて。
中国の友達に手伝ってもらって自分たちでやりました。
インタビュアー:
白い石を敷くだけで新しくリフォームしたかのように見えますね。
佐藤さん:
そうですね。1階の奥の部屋は障子の張り替えをしたくらいです。
あとはお店に団体の人が来ることも想定して、ワークショップの際に使えるよう
壁に少し大きめの黒板をつくってもらい、
プロジェクタが使えるようにスクリーンも取り付けてもらいました。
ここで映像も見てもらいながらしっかり中国茶について勉強していただけると思います。
2階には和室があって、炉を切ってもらいお茶体験ができるようになっています。
ここも団体さんが来たときに使えるように物はほとんど置かずに
打ちかけの鮮やかな着物だけ展示して、
あとは広い空間として使えるようスペースを確保しています。
インタビュアー:
お店の中で一番気に入っている空間はどこですか?
佐藤さん:
お店を入ってすぐの土間の部分でしょうか。
以前は帽子屋さんだったそうで、帽子を置く棚が残っていました。
最初は全部取り払って新しい棚を作る予定だったのですが、
タイル張りの可愛らしい棚だったで、
残したままその上に新しい棚を取り付けてもらいました。
タイルが爽やかな色で、出来上がってからも
やっぱり残してよかったなって思っています。
インタビュアー:
棚の木の色も落ち着いた和の印象で素敵ですね。
中国や日本の茶器が並んでいるのでしょうか。
佐藤さん:
はい。棚の色はコトスタイルさんに提案していただいて、とても気に入っています。
茶器は壁を越えるという意味も込めて、国ごとで分けることなく一緒に並べています。
ここで中国茶や日本の茶道について簡単に説明ができますし、
もし器を購入したいという方がいらっしゃったら、それも可能です。
インタビュアー:
お店は1月12日にオープンをされたということですが、
改装工事を終えていかがですか?
佐藤さん:
お店全体のデザインは、思っていた以上にいい感じにしていただきました。
内装に関しては私の思いもありますし、中国の仲間の思いもあって、
コトスタイルさんには無理難題いろんなことを言ってしまったかと思うのですが(笑)
いつも一生懸命に解決しようとしてくれたことは、ありがたかったですね。
外の壁の色も、途中まで塗っていたのを
やっぱりもっと上の広い範囲で塗ってほしいなど変更はあったのですが、
最初にお伝えしていた予算内におさめていただきました。
今ちょっと外の床の色が白くなってきた部分があるのでまた相談しているのですが、
アフターフォローもきっちりされているので、安心してお任せしています。
今後もまた、相談させてもらうことがあると思います(笑)
インタビュアー:
改装終了後も、気軽に相談にのってもらえるのは心強いですね。
本日はいろいろなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
====================
インタビューでは、実際に中国茶を淹れる様子を見せていただきながら
お話を聞かせていただいたのですが、佐藤さんがおっしゃる通り、
お茶をいただきながらお話を聞くと壁が取り払われるせいか、
会話がとてもスムーズで、たくさんいいお話をきかせてもらえることができました。
佐藤さんの明るい人柄と心地いいおもてなしに、
ついつい長めのインタビューとなってしまいました。
佐藤さま、どうもありがとうございました!