京都大学農学部がある東側。
大勢の京大生や大学関係者で賑わうこのエリアに
昨年末オープンしたのが、お腹を空かせた男子学生の
強い味方となってくれる「定食屋 ケンケン」。
オープンから約5ヶ月、代表の山田健太郎さんにお話を伺いました。
(2015年3月18日取材)
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インタビュアー:
山田さんは、こちらで定食屋を開かれるまでは、何をしていらしたのですか?
山田さん:
もともとは雑誌編集の仕事をしていたのですが、飲食業につきたくて転職。
アメリカにある日本食店で11年ほど働いていました。
日本食といっても、アメリカに駐在する日本人向けのお店だったので、
寿司や天ぷら、うどんというよりは、ハンバーグやスパゲティ、
やきそば、ラーメン、とんかつなど、日本人が好んで食べるような家庭料理を
何でも提供する大衆食堂という感じでしたね。
インタビュアー:
全然違う職種から日本食店に飛び込んで、そこで料理を覚えていったのですね。
この京都大学のそばという立地は、定食屋にぴったりですね。
山田さん:
そうですね。でも、最初は定食屋にしようとは思っていなかったんです。
僕自身お酒を飲むのが好きだったので、
お店を出すなら居酒屋にしたいと思っていたのですが
日本に戻ってきていざ居酒屋で働いてみたら、
人にお酒を提供するのは性に合わないなと(笑)。
それに人の下で働くというのも好きじゃない。
それなら自分でやるしかないと、大衆食堂での経験を活かした定食屋を
オープンすることにしたんです。
そうは決めたものの、最初は何をしたらいいのか見当もつきませんでした。
奥さんは京都出身ですが、私自身は北海道生まれの関東育ち。
それまでアメリカにいたこともあり、京都での知り合いもほとんどおらず。
とりあえずお店を始めるには物件探しだと思い不動産屋を巡り、
そこでコトスタイルさんを紹介してもらったんです。
この物件は不動産屋に紹介される以前から気になっていた物件で、
京大の隣りという立地の良さに加え、
店は私が一人で全部することは決まっていたので、
狭すぎず広すぎず20人くらいが入れる広さかどうか
というところもポイントでした。
コトスタイルさんには、20席取れるか席の配置なども見てもらったり、
あと最初のリフォームの提案をしてくださった見取り図が分かりやすくて
助かりましたね。
インタビュアー:
口で説明してもらうだけでは、なかなかイメージしずらいですよね。
お店の内装を手掛ける際に、こだわったことは何でしょう?
山田さん:
とにかく工事にかけられる予算が少なかったので(笑)
自分たちでできるところは自分たちでやるということが第一でした。
タイルのカウンター席はもともとあったものを再利用していますし、
店の奥の壁にはコルクが張ってあるんですが、あれは実は床材だったり。
業者さんもどこにお願いしたらいいのか分からず、
コトスタイルさんが提携している大工さんや電気屋の方にも話しを聞きながら、
本当にいろいろな人に助けていただいたからこそ、
オープンできたんだと思っています。ありがたいですよね。
インタビュアー:
お店の中で一番気に入っている場所はどこですか?
山田さん:
やっぱりキッチンでしょうか。
料理を仕込んで盛り付けてお客様に出すまでを全部一人でするので、
なるべく作業をする上で時間のロスが出ないよう、
どうすれば一番使い勝手がいいのか…
キッチンは最後の最後まで図面を見ながら想像を働かせて考えていましたね。
この野菜が入っているところは、サンドイッチクーラーというのですが、
アメリカのお店で使っていたものが慣れていて使いやすかったので、
それを参考に探してきました。
あと、ここで作業をしていて振り返るとコンロがすぐあるこの並びも、
効率の良さを考えての配置です。
オーブンも食材を短時間で均一に加熱できるコンベクションオーブンにして
魚などが早く焼けるよう考慮しています。
インタビュアー:
なるほど。定食屋さんはスピードが命ですよね。
それと、お店の真ん中にはドレッシングコーナーがあるんですね。
山田さん:
はい。各テーブルに置くと、お客様の食べるスペースが狭くなってしまうので、
アイランドをつくって、まとめて置くことにしました。
ここには自家製のドレッシングなど数種類置いてあり、
小さなカップにいれてテーブルに持っていけるという、
アメリカンスタイルにしています。
インタビュアー:
学食のような雰囲気もいいですね。
気になるメニューは、鶏のから揚げやハンバーグ、厚切りロースとんかつなど
男子学生が好きそうな内容が揃っていますね(笑)
山田さん:
ええ。お店をする上でコンセプトがブレそうになることが何度もあったのですが、
定食屋として、学生というターゲットに合わせたメニューを作ろうと
こだわってきたところでもあります。
義理の母が京大のアメフト部員にご飯を作っていたこともあり
アドバイスをもらったりもしました。
お店をオープンする前には、お店づくりの参考にさせていただこうと
近所の定食屋さんをいろいろ回ったのですが、
魚メニューを置いているところが少なかったので、これは狙い目だと思って(笑)、
うちでは鯖の塩焼きや鮭のポテトマヨネーズ焼きといった
魚メニューもいろいろ用意しています。これが思った以上に出るんですよ。
インタビュアー:
へぇ、意外ですね。今の学生さんは健康志向なんでしょうか(笑)
お店のオープンから3ヶ月経ちましたが、
これからお店をオープンしたいと考えている方にアドバイスはありますか。
山田さん:
向いている・向いてないがあるかもしれませんが、
今の仕事が面白くないなら、チャレンジした方がいいと思います!
モヤモヤ考えているくらいなら、思い切ってやってみたら、
気が楽になるのではないでしょうか。
分からないことだらけで不安も多いでしょうが、
私自身お店のオープンにあたって分からないことは
ほぼコトスタイルさんに教えてもらいましたから、大丈夫です(笑)
店内の電球の明るさも、料理が美味しく見えるような明るさを計算してもらったり。
お金を借りることについても、コトスタイルさんに
国民生活金融公庫を紹介してもらったおかげでスムーズに借りることができました。
そんな風にオープンにあたっては料理をする以外のことも全部一人でやらねばならず、
頭の痛いこともありますが、私自身、現在はとても楽しんでやっています。
これまでは板場にいるだけでお客様と触れ合う機会はほとんどなかったのですが、
今はお客様から「おいしかった」と直接声をかけていただくこともあり、
長年飲食業をやっていて知らなかったこともあったんだなぁ、
生の反応が分かると本当にうれしいなと。
やってよかったなと思っています。
具体的なアドバイスとしてはそうですね、
きちんと下積みをすることと、お金を貯めることでしょうか(笑)
インタビュアー:
なるほど。
最後に実感のこもったアドバイス、ありがとうございました(笑)
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工事に掛けられる予算が限られ、
工期も約1ヵ月ほどだったとは思えないくらい
明るく、手入れも行き届いているといった雰囲気の「定食屋 ケンケン」。
快適な空間、美味しそうなメニューと手ごろな価格。
4月になれば新入生も押しかけ、
京大エリアの人気定食屋さんとなりそうな予感…!
山田さま、お忙しいところ
どうもありがとうございました!