短い時間に店頭で選び購入するテイクアウトの業態にとって、店舗はブランドのイメージを表現する重要な空間です。
1からすべてを作り込む場合もありますが、既存の建物や、町のイメージに合わせて元からの雰囲気を活かすことも店舗つくりに求められる重要な要素となります。
京都はたくさんの異なるエリアが点在しているので、街の雰囲気とマッチしていることも重要です。
デザインを考えるときには環境的な条件と素材、ブランドイメージなどをあわせて考えていくことが大事だと思います。
果寿庵さんの京都各店舗の工事前後の状態や、多店舗展開によるデザインアイディアをまとめました。
1. 北大路(本店)店
北大路商店街の中の店舗です。町の中心からは離れていますが、地下鉄の駅やバスターミナル、鴨川もあり付近には高級住宅街も近いというエリアです。
町に馴染んだ元の商店の町家の木の質感を損ねないよう、塗装を施し、古建具などを合わせました。お店の顔となるカウンターをモールテックスで仕上げて照明を足元に仕込み、老舗の雰囲気の中に無機質でシャープなイメージが際立つように意図しています。
▶フルーツ大福店 京都フルーツ大福果寿庵-北大路店(本店)様
Before
After
2. 三条河原町店
通勤や買い物の人が行き交う三条河原町の交差点の店舗です。
極小スペースに木リブ板貼りのカウンターを配置。木枠のガラスケースにサンプルを入れて温かみをもたせています。看板は既存を再利用し、店舗のロゴを通してブランドのイメージを京都の繁華街にアピールしています。
3. 二条店
JR二条駅のバス停前。三条商店街・千本などの活気ある庶民的な雰囲気の町と、大学のキャンパスビルなど新旧が混ざるエリアです。
もともとがビルの1階であったので、色使いなど他店舗との共通性をもたせながらも、モダンな印象を作るため、カウンターの天板と立ち上がりにマットな質感の人造石を主役として据えています。
Before
After
4. 堀川今出川店(期間限定店舗)
堀川通りに大きな病院があり、バス停の前に位置しています。
もともとの建物の石の鉄・ガラスの素材を利用するため、ライン状のシンプルなベースライトと間接照明を使う、屋根上に看板を設置するなど最小限の要素で構成しながらも、ブランドのイメージに沿った店舗としました。