2020 年6月1日、堀川今出川の北東角という何とも分かりやすい立地にオープンした「鍼灸整骨院 ひらのしんきゅう」。
院長は、京都の桂で15年ほど鍼灸院を営んでいた平野勝也さん。4年前、カイロプラクティックについて改めて勉強をしたいと46歳で東京の大学へ進学。
昨年末、住み慣れた京都に戻り、新たな鍼灸院を始めるべく活動を再開しました。
再スタートを切った「ひらのしんきゅう」は、このコロナ禍に鍼灸院を始める平野さんならではのこだわりがたっぷり詰まっていました。前編・後編の2回に分けて詳しくお話を伺います。
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狭小空間を感じさせない
シンプルで清潔感のある内装に
——物件探しは、いつから始められたのですか?
平野さん:
昨年12月くらいからネットで探しはじめて、実際に内覧をしたのは今年2月です。コトスタイルさんには物件の仲介から設計施工までをお願いしました。
物件探しは最初から条件がありました。まずは、駅から徒歩10分以内で行けること。次に、物件が主要な道路に面していること。私は京都出身ではなく、京都の道路事情にもそんなに詳しくなかったので、店が細い道を入ったところにあったら自分でも分からないし、お客様も分かりにくいんじゃないかと思って。この物件は2年くらい店も入っておらず、内覧に来たときはボロボロの状態でした(笑)
でも何より良かったのが、「堀川今出川の交差点まで来て」と言えばすぐに伝わる立地。堀川通りは広くて見晴らしもいいので、前から好きだったんです。加えて、1人でするには充分なこぢんまりとした空間も気に入って、決めました。
——そんなに広くない空間で探していたのですね。
平野さん:
ええ。以前、桂でやっていた鍼灸院は広さは約25坪、スタッフが常に6〜7人いる大所帯でした。ここの広さはわずか4坪ほどですが、1人でするには充分です。期せずしてコロナ禍となり、今後対面でサービスを提供するジャンルは厳しい状況にあるのではないかと思います。でも、逆にオンラインで提供できるサービスやウーバーイーツなど、コロナ禍だからこそ伸びた業界もあります。対面しない業界、また信頼関係の厚いところは残っているという印象です。
スタッフが何人もいる鍼灸院に限らず、いろいろなスタッフが駐在するマッサージのチェーン店など、施術を誰に担当してもらえるか分からない場合、今の時期、もしかしたら不安に思う人もいるかもしれません。でも毎回担当してくれる人が分かっていればお客様も安心です。今回また新たに鍼灸院を始める際は、患者さんとの1対1の信頼関係をより大切にしたいと思い、私一人ですることにしました。
——そうだったんですね。前のお店はなぜ閉めることにしたのですか?
平野さん:
「鍼灸」を掲げていますが、鍼よりもカイロプラクティックの施術で良くなる方が多かったこともあり、「東京に行ってカイロプラクティックをきちんと学びなおそう」と決意。4年前にいったん鍼灸院を閉めて、大学で基本から学び直してきたんです。
——素晴らしいご決断ですね!ちなみに、おいくつのときだったのでしょう?
平野さん:
46歳のときでした。今後も長く続けていく上で信念を持ってやりたいと思い、決断しました。京都に戻ってきたのは、やはりこの地で15年やった実績もあったからです。
コトスタイルさんは物件を仲介してくれるだけではなく、内装までお任せできることがありがたかったですね。内装は、私の好みうんぬんではなく、誰が見てもいい感じになるようにしたかったんです。コトスタイルさんがこれまでに手がけたサロンの実績を見たら、めちゃいい感じだったので、お任せすれば誰が見てもいい感じに仕上げてくれると思ったんです。
——リノベーションの際は、どんな風に内装イメージを伝えたのですか?
平野さん:
ベッドが1台あればいい、超シンプルにとお願いしました。奇抜なものではなく、一般受けするデザインにしてもらいたかったので、ある程度お任せしていました。この壁もお客様から評判がいいんですよ。素材は何ですか?って、よく聞かれて(笑)会話のきっかけにもなっています。
——確かにあまり見たことのない材質ですね。
平野さん:
「木毛セメント」というそうです。スタッフの古谷さんに「こんな素材ありますよ」と提案してもらったのですが、あまりに評判がいいので、自分の手柄にしてしまおうかと思っています(笑)
4坪の超狭小の院内ですが、狭いからこそ圧迫感のないように意識しています。この施術室と入口を仕切る壁の位置も本当にちょうどよくて。鍼灸接骨院を始めるには、決められた以上の広さがないといけないのですが、施術室の広さを計ってみたらぴったり規定の大きさだったんです。カーテンレールの位置が1センチ内側にズレるだけでもオープンできませんでした(笑)
また壁で空間を完全に区切ってしまわないように、上には少しスペースを空けてもらっています。こんな時期ですし、少しでも風通しをよくする意味でもちょうどよかったですね。この物件には換気扇がなかったので、新たに設置してもらいました。また空間を広く見せるために、壁の上に鏡をつけることも提案してもらいました。
——4坪しかないんですね。数字を聞くと狭く感じますが、実際に中に入ってみると、狭さは感じません。
平野さん:
ありがとうございます。お客様様からも狭いと言われたことはありませんし、私自身、狭いとは思いません。内覧に来たときは薄暗くボロボロでどうなることかと思ったのですが(笑)今は仕事場に来るのが楽しみなくらい気に入っています。
——「職場に行くのが楽しい」というのは、最高の褒め言葉ですね。
今回は、平野さんにお店の物件探しや、リノベーションのこだわりについて伺いました。後編ではリノベーションのみならず、コロナ禍での運営や集客についての考え方についても伺っていきます!