京都で家具屋が軒を連ねる通りとして知られる夷川通に面したビルの2階。
ここに「御所南整骨院」を移転、
リニューアルオープンさせた院長の天野公太さん。
新しい医院は、白を基調とした広々空間で、
まるでリゾートホテルを思わせるような造りになっています。
家具屋の息子に生まれ、インテリア出身という天野さんに、
こだわりいっぱいの内装について、お話を伺いました。
(2017年7月28日取材)
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いい意味で、整骨院のイメージを裏切る
リゾートホテルのような空間
インタビュアー:
最初のお店をオープンされたのは5年前と伺いました。
天野さん:
はい。2012年に同じ夷川通にオープンして、
6年目となる今年6月にこちらに移転してきました。
最初のお店は1階にあるいわば路面店で、どなたでも気軽に入れる
という利点がありました。
ただ、これは京都ならではなのかもしれませんが、
近所に住む方が来られる際、整骨院に入っているのを見られたくないという方も
いらっしゃって、2階に移転したことでお客様にとっては、
路面だったときよりも入りやすくなったのかなと思っています。
インタビュアー:
なるほど。飲食店の場合は、路面店が有利という印象ですが、
整骨院の場合、馴染みのお客様にとっては、
2階の方がかえって入りやすいのかもしれませんね。
こちらの白を基調とした内装は、あまり整骨院らしくないといいますか、
よくある整骨院のイメージを裏切るような雰囲気で驚きました。
内装のリフォームについて、コトスタイルにはどのように依頼されたのでしょうか?
天野さん:
実はコトスタイルさんの社長の穴澤さんが、整骨院のお客様として
よく来てくださっているのが縁で、今回内装をお願いさせていただくことになりました。
私自身、整骨院を始める前は、インテリアや家具に関わる仕事をしていたこともあって
「こんな風にしたい!」というのを細かくスタッフの森さんに伝えて、
図面を起こしてもらったんです。
ちょっとした知識もあって、こだわりも強かったので、
あれこれたくさん注文してしまい、
森さんを困らせてしまったかもしれませんが(笑)
インタビュアー:
そうなんですか(笑)
では、具体的にはどのようにイメージを伝えたのでしょうか。
天野さん:
とにかくシンプルに、白を基調とした内装にしてもらいました。
雰囲気は、移転前のお店とあえて変わらないように、
ほとんど同じようなイメージになるように仕上げてもらいました。
移転して変わったことといえば、空間が少し広くなったくらいでしょうか。
自分の中の裏テーマとして、「リゾートホテル」というのがありました。
ここに来られるお客様は、リラクゼーションというより、
本気で治したいという方が多く、治療がメインなのですが、
お客様には、少しでもリゾート感を感じてもらって、
リラックスしていただけたらいいなと思っています。
シンプルな中に、細かなしつらえ
注目はされにくいけれど、大切なにしたかった部分とは?
インタビュアー:
置いてある家具も少なく、壁も時計以外ほとんど飾りはないーー
本当にホテルの一室のようにすっきりとシンプルなのですが、
よく見てみると、ドア枠や窓枠にまで細かなしつらえが施してあるんですね。
天野さん:
ええ、そうなんです。
この部分はサンメントと言って、注目する人も少ないのかもしれませんが、
私自身すごく大切に思っていて、
これがあるとないのとでは空間の印象が全然変わってくるんです。
トイレや収納庫のドアのまわり、天井と壁の境目にもすべてやってもらっていました。
本当は床上にもやりたかったのですが、予算の関係で諦めたんですよ(笑)
インタビュアー:
確かに、サンメントがあることでホテルのような雰囲気が生まれ、
ここが元・事務所だったとは思えない雰囲気になっていますね。
天野さん:
ありがとうございます。
実家が家具屋でもあるので、ドアには店に残っていたアンティークの
真鍮製ドアノブをつけるなど、サンメント同様、細かいところに気を配っています。
「この雰囲気だからこそ来たくなる」とおっしゃってくれるお客様もいらっしゃって、
それは本当に嬉しく思いますね。
うちは整骨院なので、お客様が入口から入って来て
ベッドに寝ころぶまでが勝負だと思っているんです。
ベッドに寝てしまったら、どんな内装かはもうお客様にとっては
何の関係もありませんからね(笑)
お客様には、入って来た瞬間に空間全体を見てほしいと思っているので
アプローチ部分にはあえて目を引くものを置かず
全体の雰囲気からリゾートの空気を感じてもらえたら理想です。
そんな思いもあって、今の季節、BGMはハワイアンを流していて
まるでハワイのコンドミニアムに来たかのような感覚になってもらえたらと(笑)
インタビュアー:
BGMと空間とが合わさって、
こんなに気持ちのいいリゾート感が醸し出されるんですね。
奥のベッドが並んでいる空間も、大きな窓から光が差し込んで来て
明るく気持ちいいですね。
天野さん:
移転前はこの部分が壁だったので、窓になって明るくなった空間はお客様にも好評です。
気候のいいときに窓を開け放していると、気持ちのいい風が通り抜けて
ここが街中であることを忘れるくらいなんですよ。
あとは、この窓の向こうに海の景色が広がっていたら、最高なんですが(笑)
インタビュアー:
本当ですね(笑)
ベッドのある部屋には治療のための機械もいろいろ置いてありますが、
コンセントの差込口は全然見当たりませんね。
天野さん:
はい、それもなるべく目立たせたくなかったので
機械の後ろに隠れるようにつけてもらいました。
あと壁に埋め込みのできないコンセントの露出についても、
場所をどこにするのか、けっこう時間をかけて考えました。
お客様の動線や視線の高さなども考慮して、一番目立たない場所にしています。
スイッチも場所もいろいろ相談して決めましたね。
インタビュアー:
確かに、一見しただけでは、コンセントはどこにあるか分からないほどですね。
柔らかな暖色のライトも印象的ですが、こちらの照明は、
新たにつけたものですか?
天野さん:
はい、私自身蛍光灯の明かりが少し苦手で、蛍光灯とは別に
ダウンライトをつけてもらいました。
元からある蛍光灯は掃除をするときにつけるくらいで、
お客様がいらっしゃるときはダウンライトのみ使っています。
あと全くの私の趣味で、施術中には必要ないのですが、
ダウンライトは調光もできるようになっています(笑)
インタビュアー
そうなんですね(笑)
シンプルな中に細かな配慮が散りばめてあり、
お話を聞くほどに隅々まで注目したくなりました!
本日はいろいろなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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ビジネスライクなビルの2階へと進むと、
真っ白でシンプルなリゾートホテルのような空間。
一瞬、整骨院じゃないところへ来てしまったのかと思うほど。
空間はリラクゼーション要素がたっぷりですが、
施術自体は、根本から治す治療がメイン。
腕利きの天野先生の施術を求めて、現役スポーツ選手や旅館の女将さん、
遠くは東京からの観光ついでに毎回寄られる方もいらっしゃるとか。
細かなこだわりが隠された空間と確かな施術に、
移転後、ますますお客様が増えていくのではと思いました。
天野さん、どうもありがとうございました!