2024年1月25日にオープンした「ネクタイコーヒー」。
前回は、築100年の古民家をリノベーションするにあたり挑戦したクラウドファンディングや開業までのエピソードなどについてお話を伺いました。
つづいてはもともとの建物の雰囲気をできるだけ残し、DIYで作り上げたこだわりの店内について、引き続きお話を伺います!
前編はこちら▶【喫茶店 ネクタイコーヒー様①】
今あるものを大切に残していく
懐かしく居心地のいい店内
——シンプルでかっこいいカウンターですね。
中川さん:
担当者の方にお伝えしたのは、あまりシックにもオシャレにもなりすぎないような、懐かしさや温かみのある喫茶店っぽい感じでとオーダーしました。色が真っ白というよりも少しアイボリーみたいな、クリーム色みたいになっているのですが、いい雰囲気を出してくれています。
カウンターの高さは、ちょうどカウンターのお客さんからドリップしているのが見える位置になるようにこだわりました。
——DIYをされているとのことですが、どこをされたのでしょうか?
中川さん:
コトスタイルさんにお願いしたのは、建物の補修、床のコンクリート打ち、空調や電気関連で、カウンターや壁のモルタル塗り、食器棚の取り付けなどは自分たちでしました。担当者さんのアドバイス通り、モルタル20㎏を20袋、すべて使い切りました。DIYは初めてで、YouTubeを見みたりして手探りの状態で結構大変でした。ですがコトスタイルさんからのご厚意で職人さんにモルタルの塗り方講座をしてもらったんです。
DIYは自分たちで進めていかなければならないですが、いつもとなりでアシストしてくださっていました。長細い台下冷蔵庫を壁に設置する時に、壁のモルタルの塗りの厚さが想定より1cmも分厚くて冷蔵庫がうまく設置できなかったことがありました。その時は業者さんに修正をお願いしてくださり、本当に助かったんです。困ったときはすぐにフォローしてくださいます。ここまでしてくださるのだと驚き、本当に感動しました。
——それはとても心強いですよね。
リノベーションはどのように進められたのでしょうか?
中川さん:
準備を2023年11月からはじめ、2024年1月末にはオープンしたので、約3か月ぐらいで完成しました。リノベーションについては、費用を抑えたいというのもありましたが、柱が浮いてしまっているところや建築的に補修が必要なところ以外は、この物件に決めたときから、そんなに作り変えすぎずにもともとの建物の雰囲気をできるだけ残したいという思いがあり、あまり手を入れていません。
僕と妻はブルーボトルコーヒーで働いていたことがあるのですが、そこは無駄をなくす、できるだけ長く使うなどサスティナブルな視点を大切にしていて、それが根付いています。
たとえ壁が盛り上がっていたり、剥がれていたりしても、それを味だと捉えれば魅力になると思うんです。今ある状態を大切に活かしていくことは、僕たちにとってとても自然なことでした。
——前職でのご経験が活きているのですね。
入口入ってすぐの縁側みたいに高さがあるところがとても素敵ですが、それもそのままなのでしょうか。
中川さん:
基本そのままです。ですが、その高さがあるところが思いのほか幅があったので、入口の導線を確保するために少し狭くてしてもらいました。使いやすさを兼ね備えつつ、今あるものを残したいという思いをうまく汲み取ってもらい、とてもいい感じに残してもらうことができて、気に入っています。暖かい光が差し込んでくるのが心地よくて、本当に縁側みたいなんですよ。この場所が物件を選んだ決め手の1つでもありました。お客さんからの評判もいいですね。
——オープンして2ヶ月ほど経ちますがお客さんからの反応はどうですか?
中川さん:
僕が感じていることなのですが、間借りの時からの常連さんに関しては、自然に来て自然にくつろいでいかれるのを見ると、お客さんのなかでこのお店が馴染んでいるのかなと思います。初めて来てくださる方も、初めてのお店感がなくて居心地がいいと言ってくれます。
僕たちも完成するまで店内がどうなるか想像できなかったんです。店内に置いている家具や食器、オブジェなど、店内に合うかどうかもわからず古道具屋さんやネットで購入していましたが、作り込み過ぎないことが馴染みやすさや居心地の良さにもつながっているのかもしれないですね。
昔ここは反物屋さんだったようなのですが、その後はおばあちゃんがずっと住んでいたみたいで。ご近所に住んでいるおじいちゃんやおばあちゃんがお客さんとしてきてくれるんですけど、「あそこでおばあちゃんご飯食べてたんよ」など回想話に花が咲きます。それは建物をほとんどそのまま残しているから、より懐かしく思い出されるのかもしれません。
またおばあちゃんの娘さんは小学校の先生で、その生徒さんがお店に来てくれたり。いろんな人が集まってきてくれます。
——とてもいいお話ですね。
今後取り組んでいきたいことはありますか?
中川さん:
店頭販売やオンラインショップだけでなく、卸販売を含めた豆の販売を伸ばしていきたいと思っています。1回で焼ける豆の量があまり多くなくて、今よりも容量の大きい本格的な業務用の焙煎機を置けたらいいなと思います。
そうなると本格的な煙突工事とかも必要になってくるので、しっかりと資金を溜めることができたときには、またコトスタイルさんにお願いしたいと思っています!
——間借り営業からスタートし、クラウドファンディング、DIYを取り入れた古民家リノベーション。いまの時代にフィットした開業スタイルだと感じました。
「今あるものを大切に残したい」という中川さんご夫婦の想いは、時代を超えて島原という街に根付き、そのお店を通じていろんな人をつなげていくのだと感じました。
貴重なお話をありがとうございました!