2021 年4月10日、JR円町駅から徒歩10分のところにオープンした「韓国焼肉 みゅんみゅん」。
店長は、韓国出身のキム・ジョンフンさん。お店はがっつり焼肉を食べる以外にも、近所に住む大学生が気軽に来られる場所にしたいと、あえて「焼肉屋」っぽさのない、カフェのようなデザインにしたそう。
コロナ禍での開店準備はどうだったのでしょうか?29歳という若き店長・キムさんと取締役である由里風司子さんのお2人にお話を伺いました。
前編・後編の2回に分けてお届けします!
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韓国と日本を行き来
コロナより気を揉むビザ問題
——韓国出身のキムさんが、日本でお店をオープンしようと思ったきっかけは何だったのでしょう。
キムさん:
元々は、日本の大学で映像関係の勉強をするために来日、今年で9年になります。学生時代にはいろんな焼肉店でアルバイトをしていたのですが、私は人の話を聞くことが好きで、そのうち学校の勉強より接客をしている方が楽しくなってしまって(笑)卒業後は焼肉店に就職して社員として働いていました。ですが、このコロナ禍の影響もあって、お店を辞めることになってしまったんです。
それまでにチェーン店や個人店など、いろんな焼肉店で働いた経験があり、このまま日本で焼肉店をやっていきたいと思い、自分のお店を持とうと決めました。
由里さん:
私はアパート経営をしていて、そこに住んでいたのが当時、留学生だったキムさんでした。今は私の実家に住んでもらっているんです。彼は人柄も良く明るくて仕事もできるし、何よりこのまま日本で頑張ってほしいなぁと思って、今回のお店のオープンも、私が取締役としてなって応援させてもらうことにしました。彼ならお店を開いても、きっとうまくやってくれると思って。
韓国出身の彼が日本に住み続けるにはビザが必要なんですが、私にとってはコロナウイルスよりも、彼のビザが切れてしまうことの方がよっぽど怖かったですね(笑)
——キムさんが日本でお店を始めるためには、ビザの問題もあるんですね。
キムさん:
そうなんです。ビザのこともありましたし、店を出すなら韓国料理のことも改めてしっかり学び、足りないところを補うために、昨年秋からいったん韓国に戻っていました。ですが、コロナ禍でまた日本に戻れなくなってはいけないので、1ヶ月ほど予定を早めて12月末には日本に戻ってきました。
——ビザの問題以外にも苦労された点はあるのでしょうか?
キムさん:
海外出身の私が日本でお店を出すことはとても大変で、銀行の融資や火災保険など、なかなか一筋縄ではいかないことも多いんです。でも今回、日本人である由里さんが保証人となって立ち会ってくれたおかげで、いろいろな手続きがとてもスムーズに進みました。由里さんは日本のお母さんのような、ときには何でも相談できる友だちのような存在です。お店のオープンにあたり、本当にお世話になりました。今もお店を手伝ってもらっていて、まだまだこれからもお世話になりつづけると思いますが(笑)
由里さん:
一緒にいると、年齢的にはハルモニ(韓国語でおばあちゃん)じゃないの?っていわれるんですけど(笑)
——お店についてですが、この物件はいつごろ見つけたのでしょうか。
由里さん:
この物件は、ちょうど彼が帰国する直前に見つかったんです。キムさんの住んでいる私の実家が物件からも近く、働くなら家から近い方がいいと思っていました。それとお店をするなら、通りに面した物件という条件で物件を探して、ここはちょうど通りに面していましたし、家賃が安かったのも決め手となりました。
キムさん:
居抜き物件はたくさん見せてもらったのですが、以前の店の雰囲気が残ってしまうのはちょっと違うなと思いました。ここは古民家で、当初は床も傾いていたほどで(笑)大きく改装することで、新しい場所にできるなと思いました。
——なるほど。では、コトスタイルに相談したきっかけは何だったのでしょう?
由里さん:
コトスタイルさんのことはインターネットで検索して知っていて、ホームページの記事もいろいろ読ませてもらっていました。私自身、長くアパート経営をしているので、工事をお願いできる大工さんも知っているのですが、内装の細かなことをお願いするのって大変なんですよね。コトスタイルさんに任せておけば、物件探しからリノベーションまで、全てまとめてやってもらえるのがいいなと思って、今回お願いすることにしたんです。
——韓国出身のキムさんがお店を出すには、日本人がお店を始めるときとはまた違った苦労がありました。
次回は、傾いた古民家がどのように焼肉店として生まれ変わったのか。店舗のリノベーションについて、詳しくお話を伺っていきます。