NIKOLABO
京都随一の繁華街、大勢の人で賑わう河原町通に面したビルの2階に、
「ワインのための煮込み料理研究所NIKOLABO」がオープンしました。
お店を始めたのは、フレンチやイタリアン、最近話題の熟成肉のお店など
いろいろなお店でキャリアを積んできた船戸隆行さん。
38歳で独立するまでに、どんな思いがあったのでしょうか。
煮込み料理専門という一風変わったスタイルに決めた理由、
お店をオープンするまでのお話をじっくり伺いました。
2018年3月27日インタビュー
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東京や大阪の名店で経験を積み
38歳のときに独立。
——独立するまでに、どんなお店でお仕事されてきたのですか?
船戸さん:
フレンチのお店で働き始めたのが、最初でした。
その後、イタリアンのお店や
当時はまだ注目され始めたばかりの熟成肉のお店でも働いていました。
お世話になったお店では、オーナーが和食出身の方だったり、
中華料理のシェフもいたりして、フレンチやイタリアンに限らず、
たくさんのことを教えてもらったように思います。
「いつか自分のお店を持ちたい」と思っていたので、
早めに準備はしていて、32歳の頃にはだいたいの開業資金を貯めていたんです。あとはいつ独立しようかとタイミングを考えていて、
東京や大阪で働いたのち、最後に四条烏丸にある「SEKAIYA」という創作料理のお店で1年半ほど働いて、独立することを決めました。
——それでまずは物件を探し始めたというわけですね。
船戸さん:
はい。ここの物件は、コトスタイルさんとはまた別の
不動産屋さんに紹介してもらっていて、長方形の形もきれいだし、
お店にしたときに作業がしやすそうだったので気に入っていました。
ただ、内装工事の見積もりを出してもらったら、予算オーバーで。
一旦は諦め別の物件をコトスタイルさんに案内してもらっているときに、
「実は気になっている物件があって…」と相談し見積もりを出してもらったところ、予算内に収まるということが分かり、
この物件にすることができたんです。
——同じように内装希望を出して、どうやって予算内に収まったのでしょう?
船戸さん:
あらかじめ予算は伝えていたので、
その中で、最大限できることをやってもらったという感じです。
——収まるもんなんですね!
船戸さん:
そうですね、あとはコトスタイルさんに少し勉強してもらって(笑)
床はモルタルでシンプルに仕上げてもらっているのですが、
これも予算の都合上、こうなっています(笑)
——そうだったんですね。お店の雰囲気に合っていますよね。では次に、この物件に決めたポイントを教えてください。
船戸さん:
小さな飲食店だと、トイレは1つで男女共用というお店も
多いと思うのですか、私は男性用と女性用の2つトイレが
ほしいと思っていたんですね。
ここは工事をしなくても、最初からトイレが2つあったので、
そこがいいなと思いました。
最初は居抜き物件も含めて探していたのですが、
自分の思い描くような物件にはなかなか出合えなくて。
ここは居抜きではなかったですが、
その分、自分の好きなようにレイアウトを決められるという
メリットがありました。
お店を始めたら毎日仕事をする場所となるので、
なるべくストレスのたまらないような
快適に働ける空間にしたいなとは考えていました。
——それは大事ですね。店内に入ると、まず広くて開放的な厨房が目に入りますが、厨房の工事でこだわった点はありますか?
船戸さん:
一人でお店を切り盛りすると考えていたので、
機能的でホールの動線も無駄がないものを、という思いがありました。
また、自分が厨房で作業をしている際
店内にいるお客様の様子が見えるように、
厨房も開放的な作りにしてもらいました。
洗い場や冷蔵庫の位置などは、
これまでいろんなお店で働いた経験も踏まえて
自分で作業をしやすい配置にして、
あとはそれに合わせてサイズがちょうどいいものを、
コトスタイルさんに選んでもらっています。
——カウンター席はこの広さで6席というのは、だいぶゆったりしていますね。
船戸さん:
そうですね。あんまり座席数を増やしても、
一人で店を回せないという心配もありますし、
まずはお客様にゆったり寛いでもらえたらと思っています。
スタッフも雇うようになったら、ゆくゆくは座席数を増やしていきたいですね。
カウンター後ろにあるベンチも、今は荷物置きとして使ってもらっていますが、ここを椅子にしてテーブルを持ってきたら、座席として使うこともできます。
作り付けではなく、移動もできるようになっているので、
ご要望や用途に合わせてレイアウトを変えられるというのも助かっています。
——なるほど。応用が効くのはいいですね!
女性にウケそうな内装で、と依頼。
女性スタッフの方にまるごとお任せ状態でした。
——店内の壁や棚にはドライフラワーや雑貨が飾ってあってすごく可愛らしい雰囲気ですが、これは船戸さんがされたのですか?
船戸さん:
はい。雑誌などを参考に見よう見まねでやっています。
コトスタイルさんに工事をお願いしたときに、まず伝えた希望が
「女性の方にウケの良さそうな内装にしてください」だったんです(笑)
担当スタッフの方が女性だったので、僕があれこれアイデアを出すより、
女性の意見を取り入れてもらった方が間違いないだろうと。
丸投げといってもいいくらい、おまかせでしたね。
それで提案してもらったのが、「写真に撮りたくなるような内装」というもの。
当初、カウンター上の収納棚に雑貨を置くスペースはなかったのですが、
工事の途中で提案していただいて、棚をつけてもらいました。
——イラストやグリーンが飾ってあり、確かに写真に収めたくなるような可愛さがあります。窓際の丸い照明も可愛らしくて印象的ですね。
船戸さん:
ありがとうございます。
これはある商業ビルにあった照明を見て、
いいなと思って参考にさせてもらいました。
本当はブドウのように丸い照明がくっついて
一つに集まっているイメージだったのですが、
この照明器具がとても繊細で、くっつけると割れてしまうということが分かり、
今のようなレイアウトになりました。
お店が2階なので、とにかくここにお店があるよ、
ということをまずは知ってもらわないという思いがあり、
ここならガラス張りで、通りから見てもらえるかなと思っています。
煮込み料理1本勝負!
研究を重ね、レシピは数えきれないほどあります。
——煮込み料理専門というのは、また思いきったスタイルだなと思ったのですが、これはいつ頃から考えていたのでしょうか?
船戸さん:
4年くらい前でしょうか。煮込み料理専門でやるというのも面白いと思いついて、そこからは煮込み料理について、たくさん研究してきましたね。
——店名が研究所ですもんね。
船戸さん:
はい。レシピは数え切れないくらいほどあります。
自分がワイン好きというのもあって、
ワインに合う煮込みというコンセプトで料理を出しています。
ソムリエの資格も持っていて、東京のインポーターから直接仕入れているので、この辺りのお店では扱っていないワインを置いていたり、
ダメージの少ない上質なワインが充実していると思います。
フランスやイタリア産を中心に、ボトルは常時30種ほど用意しているんです。
——ワインと煮込み料理の組み合わせ、絶対おいしそうですね〜。
船戸さん:
そうですね。
ただ、冬は温かな煮込み料理が人気だと思うのですが、
これからくる夏はどうかなぁ〜とちょっと心配ですね。
——確かに夏に煮込み料理は微妙かもしれません…
船戸さん:
初めて迎える夏がどうなるか…(笑)
冷たい煮込み料理も考えてみようと思っています。
私が京都の丹後出身で、父は漁師をしており、
いとこも舞鶴で鮮魚店を営んでいるので、
魚などの食材は新鮮なものが手に入ります。
また久美浜の有名なトマト農家にいとこが嫁いだ関係で
お米や野菜も、旬の本当においしいものが届くので
味には自信がありますよ。
——それは、自信を持っておいしい煮込み料理が出せそうですね。お話を聞いているだけでおいしそうです!
ところで、このお店のショップカードもコトスタイルにデザインと印刷をやってもらったんですよね。
船戸さん:
はい、ショップカードとスタンプカードを兼ねた1枚を作ってもらいました。
これもお任せだったんですが、お店が「ワインのための〜」とあったので
デザイナーさんが、ワインカラーを使ってデザインしてくれました。
あとNIKOLABOのロゴも作ってもらっています。
——店名もかわいらしいですよね。
船戸さん:
ありがとうございます。印象に残りやすいと聞いていた「4文字」と
濁点が入っていた方がいいということを教えてもらっていたので
「ニコラボ」としました。
——簡潔で覚えやすい店名ですよね。きたるべき夏も、がんばってください!
船戸さん、ありがとうございました!
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外からお店を見上げると、丸い照明がとても印象的。
夜になるとまた目立ちそうです。
店内は木の質感が感じられるナチュラルな空間になっていて
確かに写真に撮りたくなる要素が盛りだくさんでした!
夏にどんな煮込み料理が登場するのかも楽しみです!
船戸さん、どうもありがとうございました。